俺の顔を見た恋雪に少しだけ嫌な予感。



どうにか話を変えようと俺が口を開くより先に、恋雪が口を開いた。







「私、ずっとずっと変わらず紫苑くんが好きだよ」






そう、俺の目を見てはっきり恋雪は言い切った。




嫌な予感が的中だ。



何度告白されても断るのが苦手で
告白を避けたい俺には辛い言葉。



恋雪ならそんな俺の気持ちを知っているだろうに、してきたということはどんな気持ちの変化なのか…。





俺が、断ろうと口を開きかけると
また恋雪に遮られた。






「あんな酷い人に言われたこと気にして自分じゃ幸せにできないなんて言わないで!
私は幸せにして欲しいんじゃないの、紫苑くんと幸せになりたいの」






恋雪の真剣な思いがその目から伝わってくる。



でもやっぱり俺はこの答えしかもちあわせていない。






「ごめん、気持ちは嬉しい。
でもやっぱり俺はそんな資格ないから」






現時点やっと20になった俺が
バツイチ2歳の子持ちのシングル。



初めて結婚するし優しくて引く手数多であろう恋雪が俺を選ぶにはリスクが高すぎる。



そんなことを色々考えるとやっぱり俺は結婚も恋愛もしない方がいいのだ。






「私はずっと紫苑くん以外好きになったことないから、紫苑くんが振り向いてくれるまで好きだからね」






恋雪のそんな言葉にやめておけと言いたいが
人の気持ちは勝手には決めれない。



返す言葉がなく、黙り込むと
恋雪はポンと手を叩いて笑った。






「さっ、早くケーキ買って帰ろ!」






恋雪は明るく振舞ってスタスタと歩き出す。



俺ももう何も言えずに並んでケーキを買いに行った。