柚子に今から行くことを伝え車で約5分。



目の前には柚子が座り
横には父さんが座る重い空間が出来上がっていた。






「今後について、話し合おうと思って」






重い空気の中、俺がそう柚子に伝えると
ふんっと鼻で笑った。



昨日からまるで人が変わったような態度の変化に俺はまだ頭が追いつかない。






「まず謝っておくことは、勝手に農家を継ぐと約束してごめん。
柚子と結婚するためだと相談なく決めたことは本当に悪かったと思ってる」






柚子の結婚をしたいという気持ちを汲み取ったつもりが、全然予想通りでなかったのなら俺が悪い。


俺が謝るも、柚子は無反応だ。






「で?どうするの?
私の両親の約束破ってくれるの?だったら許してあげるけど」






そんな、柚子の言葉は容赦なく突きつけられて困る。


両親の約束を破るのはできない。
俺だって生半可な気持ちで医者を諦めたわけじゃないんだから。


そう、伝えようと口を開くと
俺が言葉を出すより先に柚子が話し出した。






「どうせ面倒なくらい正直な性格だから無理とか言うんでしょ?
じゃあいいよ。もう要らない。
柚子葉も要らないから妊娠させた紫苑くんが責任もってひきとってね」






柚子はそう言うと、深くため息を着いた。



いやいや、ため息をつきたいのはこっちだよ。
なんて思うがとりあえずその感情を押しこめる。






「色々言いたいことはあるけど…本当に俺の事好きじゃなかった?全部嘘だった?」