「そろそろ帰るか??」






チラッと時計を見ると、20時を回っているのに気づいて聞くと


名残惜しそうに眉を下げた綾瀬。






「親も心配するだろ?
学校も一緒だし、また遊ぼうな?」






シュンとする綾瀬が小動物のように感じられて守ってやりたいなぁなんて思いながら慰めると、嬉しそうに目を輝かせる。






「ほんと?また遊んでくれる?」



「うん、いつでも誘って」



「ありがとう!」






全身で嬉しいと表現するようにぴょこぴょこ飛び跳ねる綾瀬が可愛らしい。




あんまり好意を向けられるのは、それに応えられないから得意じゃないが

綾瀬からの好意は素直に嬉しいと感じた。






「手、繋ぐ!」



「甘えん坊かよ」



「えへへ」






文句を言いつつも、綾瀬の差し出す手に自分の手を重ねて綾瀬の小さな手を包む。




今日初めて話したのに、こんなに仲良くなれるもんなんだなぁ。



まぁ、もともとコミュニケーションを人ととるのは得意な方だが



俺はいつもどこか女を遠ざけてしまう悪い癖があるのに、それすらさせない綾瀬はパーソナルスペースに入るのがうまいな。




そんなことを考えながら、俺は視線を下げて隣を歩く丸い頭の黒くてツヤツヤの髪を見つめたのだった。