「結婚記念日だよ?
あんまりでしょ」



「うん」



「クズ人間」






柚子の発する言葉が心に突き刺さるが
それは受け止めなければなるまい。






「許して欲しいなら、これから柚子葉の面倒も家事も全部紫苑くんがして」






むくれてる柚子は突然そんな提案をしてきた。



というかその提案はいつもと同じじゃないだろうか。口が裂けても言えないけど。






「私疲れちゃったもん」



「うん、いつもありがとうな」






昼間も面倒は母さんが見てくれてるらしいけど。

これも口が裂けても言えないけど。



なんて思いつつ、それで許してくれるならいつもと変わらないからいいか。なんて思って頷いた。






「柚子はもう少し自分に余裕が出てきたら柚子葉の面倒一緒に見ような」



「うんー」






柚子は気のない返事をしてあとは面倒になったのか、ケータイをいじり出してしまう。



柚子の面倒見無さは不安になるほどだ。






「柚子葉あっちで遊ぼうか」



「あー」






柚子葉は泣いてもすぐ泣き止んでくれるし、よくニコニコ笑ってくれるし

手がかからないし、癒されるのになぁ。




そんな一物の不安もありつつ
ドタバタした結婚記念日を過ごしたのだった。