「よし、これで決まり!」



「案外長くかかったな」



「適当には決められないからね」






案出しをはじめて1時間。

香菜の提案した医学部っぽい出し物にしたいという意見から"病院カフェ"に決まった。



時刻は18時30分。




これは急いで帰らなくては。




終わってすぐ、立ち上がり片付けて猛ダッシュで家へ向かう。




帰るのは18時になるって言ってたから30分以上オーバーしていることになる。



これはまずいぞ。




激怒覚悟で家の鍵を開け、中に入ると
柚子が仁王立ちでたっていた。






「遅れるなら約束しないでよ」






と、姿を見た瞬間言われてしまった。



たかが30分と思わなくもないが、されど30分なのだ。



ひとまず俺がカバンやらを置き、柚子葉を抱っこしていた璃苑から柚子葉をもらう。






「浮気してたの?どうして遅かったの?」



「学祭の出し物決めてたんだよ
遅くなってごめんな」



「ありえない。記念日にこんなだなんて」



「ごめんな」






これに関してはあ完全に俺が悪いか謝るしかなく、謝るけど柚子の機嫌は戻らない。






「ふぎゃー!ふぎゃー!」






柚子の機嫌が治らず困っていると
腕の中で柚子葉が泣き出す。


柚子は、そんな柚子葉をみながら舌打ちをした。






「毎日毎日ギャーギャーないてもう最悪!」



「柚子葉、大丈夫大丈夫
オムツ交換かな?」






微かにオムツから臭うのを察知して、いつもの如くオムツを脱がすとやはり交換して欲しいから泣いていたようだ。



その間も柚子は柚子葉を睨んだまま。



最近ずっとこうだ。
いや、生まれてからずっとこうだ。



産後鬱みたいな感じなのだろうか。
あまり無理はさせたくなくて、出来ることは全部するようにはしているがそれでも柚子葉を構わない柚子。






「早くご飯いこう」



「う、うん」






柚子葉のオムツを交換したのを見て、柚子は俺の腕を引っ張ってきた。






「璃苑、母さんちょっと柚子葉のことお願い」



「はいはい、たまには息抜きしておいで」






柚子葉を母さんに手渡しながら、母さんの言葉に感謝した。



やっぱり母さん達のこと頼ってしまうのはまだまだ未熟な証拠だな…。