卒業式から時は過ぎ5月。


今日は結婚1年記念日だ。



だが、まぁ、今日も今日とて俺は学校だから帰ったらご飯に行く約束をしている。






「紫苑!今日ちょっと付き合ってよ」






講義も終わり、今日は柚子との時間のためにサークルもバイトも休みのため、早く帰ろうと準備をしていると

友人の香菜(かな)からそう、引き止められた。






「どうした?」



「今度する学祭の出し物決めないといけないんだよね」






香菜がプリントを見せながらそう言ってくる。



そうだ、俺は成績順で香菜と2人学祭担当になったんだ。



けど今日は柚子がなぁ…。
遅れたらまずいよなぁ…。



柚子葉を産んで4ヶ月、やっぱり柚子は元気がなくて柚子葉の面倒もできるだけ見たくないと言っていて心配だから

今日はちゃんと気晴らしさせてあげたいと思ってたから、香菜に手を合わせて眉を下げる。






「ごめん、俺今日は外せない用事があるんだ。だから明日にしない?それ」






大学の友達には、結婚してることも子供がいることも伝えていないからみんな知らない。


俺のお願いに、香菜は"んー"と言葉を詰まらせて困ったように笑った。






「これ今日提出期限なの忘れてて…ごめん」



「まじか」



「どうしてもって言うなら私ひとりでしておくよ!私が先生から渡されて忘れてた責任として」






そう言って香菜は親指をぐっと立てて笑う。



確かに俺はそんな決める存在があるなんて知らされていなかったが、同じ担当なのに任せるわけには行かないよなぁ。



急いで決めて帰るしかないか。



只今の時刻17時30分。


急ごう。