「柚子、落ち着いたか?」






柚子の両親の結婚の許しを得た俺は
父さんと柚子がいる場所に駆けつけた。



柚子は父さんに宥められて少しは落ち着いた様子で一安心。






「あんまり身体に負担かけるなよ?
もう柚子だけの身体じゃないんだから。な?」






精神が不安定になるのも、妊娠中ではよくある事だ。



だけどやっぱり感情に任せて走って転んだりしたら大変だから注意すると
こくんと素直に頷く柚子。





そんなしゅんとしてしまっている柚子の両頬を掴んで顔を見て笑ってやると


いつもの様に少し笑顔になってくれた。






「結婚許してくれたから、笑おう?」






俺の言葉に、柚子が"ほんと!?"と目を輝かせて食いついてきて、それに頷いて返すと


本当に嬉しそうに満面の笑みになった。






「やった!!紫苑くん大好き!
これで私も、高野 柚子になれるね」



「あはは、そうだな
明日にでも役所に出しに行こうな」



「うん!」






こんなに喜んでくれるなら、よかった。


俺の判断は間違ってなかったんだきっと。



そう思うことにした。




まぁまだ後々農家を継ぐことは柚子には話してないけど、もっと精神が安定した時期に話すことにしたからまだ内緒。



相当農家を継ぐのが嫌らしいから、説得には時間はかかるだろうがそこも頑張るしかない。






「じゃあ、帰ろうか」






タイミングを見計らった父さんの言葉に
俺と柚子で頷いて父さんの後に続いて車に乗り込んだ。