「柚子、おまたせ」






部屋に戻り、ベッドに寝転がってケータイをいじる柚子に声をかけると
柚子はぱっと顔を輝かせた。






「待ってたよ!
怒られた?大丈夫?」



「平気
しっかりしなさいって話だけだった」



「よかった
一安心だね」






柚子は、安心したようにコロコロと寝転がって笑う。



そんな仕草が可愛らしくて隣に横になると
ぎゅっと抱きしめてきた。






「ご飯の時は怒ってごめんね
でももう元カノのプレゼントの事はどうでもいいよ」



「いいのか?」



「うん、もう結婚するし、余裕が出た!」






そう言ってケラケラ笑う柚子につられて俺も笑ってしまった。



なんて単純なんだろう。



恋雪は優しくて一緒にいて穏やかになれるところが好きだったが


柚子はコロコロ変わる表情、一緒にいると飽きないところが好きだ。




色んな好きがあるのを教えてくれた柚子には感謝しないとな。






「体調気をつけるんだぞ」



「ありがとう」






愛おしい

素直に表現出来る柚子が愛おしい


そんな感情が溢れてきて、抱きしめると
柚子もぎゅっと抱き締め返してくる。






「女の子と男の子どっちがいい?」



「んー、どっちも嬉しいけど
男の子だったらバスケさせたいな」



「女の子でもバスケできるよ」



「そうだな、じゃあ柚子に似た女の子がいいかもな」



「へへ、もし女の子だったら名前も考えてるんだ」



「なんだ?」



「内緒」






なんだそりゃ。



なんてまだ性別もわからぬ我が子の話で盛り上がるこの瞬間に幸せを感じた。