柚子を俺の部屋に案内し終わって
ゆっくりするように伝えてからリビングに戻ると、3人ともまだ揃っていた。






「紫苑、あの女やばいよ」






俺がリビングに入るなり、璃苑がそう言ってきた。






「誕プレが子供とか恐ろしすぎるでしょ」



「いや、そんな事言うなよ
じわじわだけど俺は嬉しいよ」






最初はそりゃ戸惑ったけど
決意を固めてしまえば嬉しいし楽しみだ。



俺の言葉に、璃苑が"洗脳されてる"なんて失礼なことを言っているが無視する。






「紫苑、俺は確認として聞くけど
本当にいいの?甘い考えじゃ子育ても学業との両立も出来ないよ」



「わかってる」



「柚子ちゃんも独占欲強そうだし
高校中退しなくちゃいけないから支えないといけないんだよ?
本当にできるんだね?」






父さんは充分念を押すように、俺の目を見据えてそう聞いてきた。


最終確認のつもりだろう。



でも俺はもう決めたんだから答えはひとつしかない。






「大丈夫。絶対に医者にもなるし、頼れる旦那にもいいお父さんにもなる」






俺が強く頷きながら、ちゃんと父さんの目を見て伝えると

父さんはやっと優しく微笑んで頷いてくれた。







「頑張れ。
何かあったら援助はするから」



「うん、でもできるだけ自分たちで頑張ってみる」






いつまでも甘えてられないから。
と、言うと、やっぱり優しく笑う父さん。



もっと怒られるかと思ったが、意外な反応だった。






「じゃあ、部屋戻るな」






俺と父さんの話が終わるのを見かねたように、母さんと璃苑が"やめとけ"って言うのが聞こえたが


父さんから"そんな事言わないの"となだめる声まで聞いて部屋へと戻った。