父さんの問いかけに、やっぱり悩んでしまう俺。



継がないでいいとはずっと言われてたけど、父さんの背中を見て医者になりたい一心で勉強も頑張ってきた。



だからこそ簡単に諦めれる夢ではないけど
でも、こればかりは自分で責任を取るしかない。






「そう、なるよな
諦めて高校卒業して働くよ」






俺の言葉に続けてすぐ父さんは"なんの仕事?"と畳み掛けてきた。




それにもやっぱりすぐ答えられない俺を見て
父さんはため息をひとつ着いた。






「高校卒業して働いて柚子ちゃんと子供を養うのは簡単かもしれない。
でも、お前はそれでいいの?」



「……」



「どうしても医者になりたいって、途中で投げ出したりしないで家事や育児もこなすって約束するなら、手助けはするよ」






"幸いにもお金には困ってないんだから"


と言ってくれた父さん。



だけど、甘えていいのだろうか…。
俺の不安なんてお見通しなのか、父さんは言葉を続けた。






「将来の安定性を考えたらそうした方がいいと思うよ。
まだ子供なんだから、最後に甘えときな」



「うん…ありがとうございます」






優しい言葉に甘えることにした俺は
柚子を見ると嬉しそうに笑っていた。


うん、柚子が喜んでくれるならそうしよう。




たとえきつくても辛くても
そう言うのには慣れてるしめげないのが俺の長所であるから頑張ろう。






「柚子ちゃんも、困ったことがあったらなんでも言ってね?
週末は柚子ちゃんのおうちに挨拶に行こうね」



「はい、わかりました」



「今日はもう遅いから泊まっていきな
紫苑、部屋に案内してあげて
案内したらとりあえず戻って来な」



「わかった」






父さんからの呼び出しをくらいつつも
柚子を俺の部屋に案内することにした。




きっとこれからのことを話すのだろう。




ついでに怒られるだろうなぁ。