夜、今日は誕生日パーティーをくれるとの事で


前回の失敗を踏まえて、かの有名なチキンを頼んで家で待っててくれた柚子。



自分で作るのはやめたそうだ。






「柚子、おまたせ」






もうすぐ高総体、3年生最後の気合いの入った部活を終えて柚子の家に入ると


柚子は少し怒ったような雰囲気だった。




確かに今日に限って練習長かったけども…
大会前だし仕方ないよなぁ。




どうやって慰めようかななんて考えながら
バッグの中を漁ると、恋雪から貰ったプレゼントが入ってないのに気が付いた。



おかしいな。
ちゃんとバッグに入れたんだけどな…。



俺の異変に気づいたのか、柚子が"どうしたの?"と聞いてきた。






「友達からもらったプレゼント、バッグに入れてたんだけど入ってないんだよな」



「友達、ねぇ」






含みのある言い方で友達と繰り返した柚子はゴソゴソと何かを取りだした。






「それ…」






柚子が、頬を膨らませて見せてきたのは恋雪から貰ったプレゼントだった。



なぜ柚子がもってる、とか
いつの間に取ったんだ、とか

そんな感情が一気に溢れてくる。





だが、俺が言葉を発するより先に
柚子が急に大声で怒鳴ってきた。






「どうして!元カノからプレゼント貰うの!!おかしいよ!!
私が悲しむのわからないの!?
こんなの要らないでしょ!!!」






初めて聞く柚子の大声に、驚いていると
柚子はプレゼントをゴミ箱へと投げ入れてしまった。



さすがにその行動は頭に来たが、ここで俺が怒っても埒が明かない。


冷静にならなくては。



そう、自分に言い聞かせて
投げ捨てられたプレゼントをゴミ箱から取りだした。