時は少しすぎ、5月。




俺の研修医生活も始まり、柚子葉も小学校に楽しいと毎日通う日々が続いていた。




柚子はというと、まだ就職先も子供をどうするかも決められておらず困ったものだ。






「柚子、ハローワーク行ってるか?」






俺が昼に仕事が終わって実家に顔を出すと、驚きの人物が来ていた。






「紫苑くん、お疲れ様」






そう、柚子を訪問しに来ると、恋雪が何故か来ていたのだ。






「恋雪なんでここに?」



「柚子葉ちゃん帰ってくるまで暇だから様子見ようかと思って…。
妊娠とかのこと男の人には相談しにくいだろうし」






笑ってそんなことを言う恋雪の横で柚子はムスッとしているが、恋雪の優しさはやっぱり誰に対しても平等だな。







「それで?決まったの?どうするか」






相談はまだ出来ていないだろうけど、聞いてみると柚子からそっぽを向かれてしまう。



こりゃ今日はダメだな。
俺が諦めかけていると、恋雪が俺に向かって笑いかけてくる。






「私が話してみるから先に帰ってて?」



「わかった、ゆっくりいいぞ
ご飯とか柚子葉は俺に任せて」



「うん、お願い」






多少は2人にするのが不安ではあるが、ここは恋雪を信じるしかないだろう。


幸いにも家には母さんもいる事だし。




恋雪の言葉に頷いて俺は今日の晩御飯を何にするかなんて、考えながら実家を出た。