バキッ




そう、恋雪に手渡すと、どこから取り出したのか大きな石で俺のケータイの画面をカチ割ったのだ。



それも、何度もうちつけるから画面どころかボロボロの姿になってしまったケータイ。





あまりの衝撃に開いた口が塞がらないでいると、光司がパチパチと拍手をした。



それに続いて太一と真優ちゃんも拍手をする。






「最高、思い切ったなー恋雪」



「恋雪ちゃんかっこいいっす!!」



「これで連絡取れないね!」






光司と太一と真優ちゃんのそう言ってケラケラと笑う声で我に返った俺。






「お、怒る…かな?」






恋雪はまさに、恐る恐る俺の顔を見てきた。


怒ると言うより、あの優しくて穏やかな恋雪がこんなことした事の衝撃の方が大きい。


でも事実これで連絡取れなくなった訳だしいいかな。







「怒らないよ
ありがとな恋雪」






きっと恋雪なりに沢山考えて
俺が怒るかもしれないことをしたのだろう。



そんな人の善意をイタズラに怒ることは出来ないし、結果オーライだ。




俺の言葉を聞いた恋雪はほっとしたように笑うとペタンとその場に座った。






「恋雪にもこんな一面があったんだなー!
もっと色んな恋雪見せてな」






恋雪といると楽しい。


優しくて穏やかな恋雪。
でも、芯が強くて、日々変わっていく姿に俺も勇気を貰える。



もっと恋雪の色んなところを見たいな。






「パパ!ママすきねー!」






突然そう言った柚子葉の言葉にみんながどっと笑った。



好きとかではないんだけどなぁ、なんて。