「どうしたの?顔真っ青だよ?」






恋雪のそんな声でこの場に意識を引き戻された。


いくら柚子でもどうかと思うぞ今回は…。



俺が言葉を返さずにいると、光司が頭をペシっと叩いてきた。






「しっかりしろ!何があったんだよ」



「えっ…妊娠したって…」






光司から問われるがままに返すと
全員から驚きの声が上がる。







「お前手出したのかよ!」



「違う!出てないからこんなに驚いてるんだろ!」






全員の心の声であろう光司の言葉に俺がたまらず言い返すと静まり返る室内。



そう、俺は1度たりとも手を出していないのだ。



強姦に合ったあの日も結局、そんな気になれず手を出してないまま終わったし。




つまり、柚子の妊娠は確実に俺のじゃない。



時期的に考えれば、強姦された時のものだろう。





それを責任を取れだなんてあんまりじゃないか…。


でもきっと取らなかったらまた死ぬと騒ぐ。




どうしたらいいんだよ…。




為す術なく、俺が打ちのめされていると
恋雪が俺の手を取って包み込んだ。






「落ち着いて、自分が手を出していないなら胸を張っていていいんだよ?
紫苑くんは何も悪くない。それはずっとずっと変わらないことだよ」






そう言ってくれる恋雪の真っ直ぐな視線で少しだけ落ち着きを取り戻してきた。



でもやっぱり再婚してしまったからには責任はある。


誰がなんと言おうと
俺が悪くないことは無いんだ。




どんな喧嘩も揉め事も、どちらか一方が悪いことなんてないんだから。