「お前なぁ〜!見ろ、お前のことが好きで好きで思い続けて10年の女もいるんだぞ?
どう考えても恋雪の方がいい女だろ!」



「うんうん!優しいし可愛いし控えめだし出る時出るし!
なにより絶対的な一途!!」



「なのになにが恋雪の何がダメなんだよ」






光司と太一はそう言って俺の肩に腕を回してくるが答えようもあるまい。



そんないい子なのに、ワケありまくりの俺と結婚しても幸せにはなれない。


それに自信もない。




言わなくても俺の言いたいことなんてわかるのか、光司も太一もバシバシ容赦なく頭やら肩やらを叩いてくる。






「お前が自信が無いのも、誰より優しいのも全部知ってる!だからこそ言うけど、俺は恋雪と幸せになとは思うぞ」



「俺も!柚子葉ちゃんもママって言ってるし、大賛成だよ!」






2人の強い恋雪推しは伝わってきたが
そもそも俺は今既婚者なわけで。



何を言っても恋雪とどうこうなる予定は無い。






「パパ!ケータイなってる!」






俺達がもみくちゃになっているところに、柚子葉が俺のケータイを持って来てくれた。



画面には、柚子の文字。






「もしもし」



『紫苑くん、妊娠した』



「は!?」






電話の開口一番とんでもないことを言われた俺は思わず叫んでしまった。






『責任とってね』



「えっ、いや、柚子!」






柚子は言うだけ言って俺の言葉など聞かずに電話を切ってしまった。



うそだろ……。





俺が絶望していると、恋雪が心配そうに俺の顔を覗き込んできた。