【紫苑side】




あれから暫く柚子葉と遊んで
お昼寝で寝かしつけてから柚子の家と向かった。






「書いてきたよ」





俺は先程予め書いてきた婚姻届を渡すと、痛々しい腕の柚子が嬉しそうに笑う。






「やった、これで嫁に行けなくなるって不安が無くなる!」



「……」






強姦されたことが余程コンプレックスになったのか、トラウマになったのか。



嫁に行けないことを何より恐れている柚子にどう返していいかわからず言葉を返せない。




ウキウキと、柚子は婚姻届を書いている姿に
今度のこそちゃんと守ろう。



頑張ろう。




そう意気込んだ。






「それじゃあこれから毎日夜ご飯作りに来てね」



「でも時間遅いよ」



「出来るだけ早く」






柚子の圧には何も言い返すことが出来ず…。
言ってまた自殺されかけたらたまらないから頷くことにした。






「わかった」



「へへ、新婚生活第2弾だね」



「……そうだな」






なんとも言えない複雑な気持ちのまま、俺たちは2人で婚姻届を出しに行ったのだった。




これからの毎日に漠然とした不安が拭えないまま。