俺が急いで柚子の家へと駆けつけると
柚子は水でずぶ濡れの全裸のまま、腕から血を流して泣いていた。






「柚子!」



「紫苑くん」






柚子は俺の顔を見ても、自分の腕を傷つけるのを辞めず、柚子の手からカッターを取るとぼんやりと俺を見つめてきた。






「なにしてんだよ!自分の体は大事にしろ」






絨毯が血で染まりつつある柚子の腕を掴んでとりあえず止血しようとすると

柚子は「いや!」と叫んだ。






「もう私お嫁に行けないもん!!
だったら死んだ方がマシ!!!」



「柚子、何があった?」






ヒステリックにそう叫ぶ柚子の腕を抑えて問いかけると、柚子はボロボロと涙を流して俺に抱きついてくる。



想像していた以上に弱りきった柚子の姿に戸惑いつつも、背中をポンポンと撫でてやると少しずつ息が整っていく。



こんな時にパニックにならずに対応できるようになったのは、医療を習っていて良かったと思う。






「柚子、大丈夫大丈夫。俺がいるから、な?」






ひとまず落ち着いて貰わなくてはいけなくて、声をかけ続けると


柚子は泣きながらとんでもない言葉を発した。






「お願い、私を抱いて。
抱いてくれないなら死ぬ」






そんな、とんでもない発言に俺が言葉を失うと、柚子はまだ血の滴る腕を俺の首に絡めてキスをしてきた。






「ちょ、やめろ柚子!
何があったんだよ、抱けなんて言われても無理だって」






そもそも柚子を抱くなんてできない。

色んな罪悪感できっと無理だ。




俺が柚子を静止すると、柚子はまたしてもワンワンと泣き出してしまう。







「やっぱり、私が汚いからだ!!ひどい!
もう無理!!死ぬ!!!離して!!」






柚子は泣きながらも、こんな力あるのかと思うほどの力で暴れ出す。



どうしたものか…。