柚子葉の誕生日から早半年近く経った頃。
8月初め。





医学生3年になっている俺は結構試験漬けの毎日を送っていたが

世の大学生は夏休み。



ということで、いつものメンバーに柚子葉もつれてプールに誘われたのだ。







「恋雪〜!ちょっと柚子葉のうきわ持ってて〜」



「うん!大丈夫?他の荷物も持とうか?」






皆と現地集合したはいいものの、光司に太一、真優ちゃんはそそくさとプールに遊びに行ってしまったが


なんせ俺は来る途中で柚子葉が寝てしまっておんぶしつつ荷物もちをしている。




恋雪のありがたい言葉に感謝しつつ、少し荷物を持ってもらっていると俺のケータイが鳴った。






「まじか、ポケットから取ってくんね?」



「ここかな?」






荷物を持ってもらって、画面を見ると
柚子からの着信。


メッセージじゃなくて着信なんて珍しいなぁと思いつつ、耳に当てると
ヒックヒックと、泣く声が聞こえてきた。






「どうした?」



『助けて紫苑くん
もう私生きていけない』



「は?!」



『うちに来て
来なかったら私死ぬから』



「ちょ、おい!」






柚子は訳の分からないことを言って、俺の言葉なんて聞かずに電話を切ってしまった。



どうしようか…これで本当に死なれでもしたらシャレにならない。


だからって柚子葉と柚子を接触させたくない。




俺がどうするか迷っていると、恋雪が俺の肩をポンと叩いて笑った。






「柚子ちゃんでしょ?行ってきなよ
私が柚子葉ちゃん見ておくから」



「でも」



「大丈夫!私は柚子葉ちゃんのママだからね〜!」






恋雪はそう言って悪戯っぽく笑って柚子葉を起こさないように抱っこする。


そう、誕生日からずっと柚子葉は恋雪のことをママ、ママと呼んでいるのだ。






「ごめん、すぐ戻るから」



「うん!気をつけてね」







恋雪はか優しく見送ってくれたこと感謝して
とりあえず俺は柚子の家へと向かった。




あんまり柚子とわ関係を持ち続けるのは良くないとかっていながらも、自分がしたことの負い目から中々拒めないのは良くないよな…。




こうして恋雪にも迷惑かけてるし…。



そんなことを思いながら車を走らせた。