「やっぱり、こうしてのんびりティータイムするのはいいね」

舞台俳優のシリウスは、ロイヤルミルクティーを飲みながら微笑む。マドレーヌを食べていたかぐやは頰を赤く染めた。そして、シリウスと同じように微笑む。

「はい、そうですね。こうしているとまたいい物語が浮かびそうです」

劇の公演を昨日終え、シリウスたちは屋敷で休日を過ごしていた。いつものように中庭でティータイムをする。

「エヴァ、紅茶のおかわりいる?」

シリウスは庭に咲く花を見つめているエヴァに声をかける。その手元に置かれたティーカップは空っぽだ。

「ありがとうございます」

エヴァは微笑み、シリウスはティーポットを手にする。かぐやが「シリウスさん、私がしますよ?」と慌てて言ったので、「たまには僕にさせて」と笑いかけた。

エヴァには何でもしてあげたいと思ってしまうのだ。それがシリウスにとって不思議だった。

「エヴァ、マドレーヌもっと食べていいよ?」