「かぐやさん、できました」

「えっ!?もうできたの?」

世界的に有名な舞台俳優、シリウスの屋敷のリビングでは、柔らかなソファに腰掛けてエヴァとかぐやが刺繍をしていた。シリウスはその様子をコーヒーを飲みながら見つめている。

かぐやとエヴァはほぼ同時に刺繍を始めたはずだった。しかし、エヴァは綺麗なバラの刺繍を完成させている。

「できたの?」

「はい」

驚くかぐやの隣で、エヴァはコクリと頷く。すると彼女の真っ白な髪につけられた紫の花の髪飾りが揺れた。

「よくできてるね」

エヴァの刺繍がとても美しく、シリウスは思わず声をかけていた。かぐやが「そうですね」と微笑む。エヴァは「ありがとうございます」と頭を下げ、また刺繍を始めた。

シリウスがエヴァを屋敷に住まわせ、数日。何もわからないエヴァに、かぐやが料理や刺繍などを教えている。エヴァが教えてもらうところをシリウスは何度も見ているのだが、教えているかぐやもシリウスもエヴァに何度も驚いている。