「かぐや、ちょうどいいところに。エヴァにリゾットを持ってきてあげてくれる?」

「はい、わかりました」

かぐやが部屋から出て行くと、エヴァが「あの人は?」とまた警戒した目を向ける。シリウスが説明すると、脚本家という言葉がわからなかったらしく、脚本家の仕事もシリウスは説明する。

シリウスがかぐやのことを話し終えた頃、再びかぐやが入ってくる。その手には、野菜のたっぷり入ったリゾットを持っている。

「お口に合うかわかりませんが……」

「かぐやの料理は本当においしいんだよ!」

かぐやが微笑み、シリウスがエヴァにスプーンを渡す。エヴァはリゾットを見て不思議そうな顔をしていた。そして、恐る恐るリゾットを口に入れた。

「どう?」

シリウスが訊ねると、エヴァはそっと口元を押さえる。

「この感情は、一体何なんですか?とても温かくて……これが「おいしい」ということ何でしょうか?」

そう言うエヴァにシリウスは「うん、おいしいんだよ」と笑う。そして、不思議に思うのだ。なぜ「おいしい」がわからないんだろうと。