「君の名前は?」

シリウスが訊ねると、少女は少し考える。そして「エヴァ」と名乗った。

「エヴァ……。素敵な名前ですね。どうしてあんなところに?ご家族は?」

シリウスが訊ねると、エヴァは「わかりません」と首を横に振る。そして、自分の名前以外ほとんど何も覚えていないことを語った。

「そっか……」

「私、どうしたら……」

うつむくエヴァに、シリウスは「なら、ここに住んでいいよ」と笑った。エヴァは「えっ!?」と顔を上げる。その顔は驚きに満ちていた。

「……いいんですか?」

「もちろん!記憶が戻るまで、ここにいていいよ」

シリウスが笑うと、エヴァはどこか安心したような顔を見せる。緊張を解いてくれたことにシリウスがホッとしていると、コンコンコンとドアがノックされた。

「失礼します」

ペコリと丁寧にお辞儀をしてかぐやが入ってくる。そして、エヴァを見て「目を覚まされたのですね」と言った。