泡沫の記憶


「帰ろっか…」



咲田が目をそらして立ち上がった



「…咲田、もう少し一緒にいたい…」



「え?」



聞こえなかったみたいで
咲田がまたしゃがんで聞き返した



近い…



「もう少し、咲田と一緒にいたい…

浴衣姿、もっと見たい…

せっかく、着てきたのに
もったいないじゃん!」



「…ウソ‥じゃない?」



ローソクの炎で咲田の顔が照らされた



「うん…ウソじゃない

咲田…」



「…ん?」



「咲田

…好き…」



「…え‥」



「好き…ずっと好きだった…」



「…ウソ‥じゃない?」



「うん、ウソじゃない
ホントに、好き…

咲田のこと、ずっと好きだった

咲田が澤田先輩に告られた時も焦ったし…

咲田が瀬倉のこと好きなのも知ってた

でも、オレも…
咲田のこと…好きなんだ…

だから…
だから、オレと…
付き合ってほしい」



ローソクの炎が揺れた



「じゃあ…私の願いごと…
叶った…」



咲田は瞳をキラキラさせて言った



「え…」



「小栗の彼女になりたい!
私の願いごと」



え…

かわいい…



「じゃあ…
オレの願いごとも、叶った…」