泡沫の記憶


瀬倉は勝手にゲームを出してやり始めた



テレビからゲームの音が鳴り響く

疲れてるから耳触りだった



「あー、この前、途中でいなくなってゴメン」



瀬倉が言った



「あー、LINE気付かなくてゴメン」



オレは天上を見たまま言った



「せっかく3人で楽しいと思ったのに
アイツらしつこいんだもん!」



ゲームをしながら瀬倉が言った



瀬倉は3人でよかったのかな?

咲田とふたりが良かったんじゃなくて?

瀬倉の気持ちがわからない



「アイツらとか言いながら
瀬倉、楽しそうにしてたけど…
マネージャーと仲良さそうだったし」



「あー、まぁ仲いいね」



「好きなの?」



「いや、別に…普通に好き
けど、特別な感情はない」



特別な…



「…じゃあ、咲田は?」



「オマエ、前もそれ聞いたよね」



「うん、気になるから…

咲田のこと好き?

…特別な感情で…」



瀬倉からすぐに返事がなかった



コントローラーのボタン音がカチカチ聞こえた



「…好き…
って言ったら?」



瀬倉の声がした



「なんで…
なんで、咲田に告られて付き合わなかったの?

…ごめん、あの時、聞いてた…」



ゲームの音が止まった



「…なんだろう…

咲田の気持ちがまっすぐで
付き合うのがこわかった…

…それから、オマエも好きだっただろ…

咲田のこと…」



瀬倉はオレの気持ちも気付いてた



「うん…」



「オレ、バカだよね…

咲田の気持ち断わっても
咲田はずっとオレのこと
好きでいてくれると思ってた…

なのに…気付いたら
咲田、オマエのこと見てた…

咲田の気持ち、傷つけた…
オレ、サイテー

咲田、たぶんオレがサッカー部入ると思って
マネージャーやろうとしたんだよね
それ知ってて、オレ、バスケ部選んだ

今までのままでいたいとか言って
なんかオレ、咲田のこと避けた

一緒にいたらダメな気がした」



オレはずっと天上を見たまま聞いてた



「小栗…
いつも、咲田の近くにいてくれて
ありがとう…

アイツが辛かった時
近くにいたのはオマエだった

咲田がオマエの彼女になっても
オレとも親友でいてほしい…」



涙腺にも力が入らない

オレは涙を止めれなかった

目尻から温かいものが流れた