泡沫の記憶


咲田の家まで10分弱

オレたちは無言で歩いた



こんなことなら
送らないほうが良かったのかな?



でも咲田も断わらなかった



もしかしたら
並んで歩けるの
これが最後かも…



そう思うと無性に辛くなった



明日の帰りは
隣に澤田先輩がいるのかもしれない

彼女になってるかもしれない




咲田の家の前で

「ありがとう」

咲田が言った



「うん…」



「じゃあ…」



咲田がオレに背を向けた




「咲田」



咲田の足が止まった



「咲田が決めることだけど
オレの気持ち言っていい?」



咲田の影が頷いた



「オレ、咲田に付き合ってほしくない」



「…」



咲田の返事はなかった



だよね…

やっぱり言わなきゃよかった



「…ごめん、勝手なこと言って
とりあえず、明日のテスト頑張ろ
じゃあ…」



オレは咲田の後ろ姿に手を振った



咲田

また泣いてる?




オレたちの気持ちとは裏腹に

空には星が輝いてた