泡沫の記憶


咲田がタオルで顔を押さえて
涙がおさまるのを待った



何も声は掛けれなかった



しばらくすると
咲田が顔からタオルを外した



「ごめん
なんでだろう…泣いちゃった
恥ずかしい…」



咲田は明るく言った



無理してる?



オレは目を細めた

笑顔になれなかった



「タオル、ありがとう
洗って明日返すね」



咲田はオレのタオルをカバンにしまった



オレはホントに何もできなかった



「…家まで、送ってもいい?」



そんなことしか思い付かなかった



咲田は黙って頷いた