泡沫の記憶


勉強に飽きると
咲田はノートに落書きしてくる



静かな空間で
笑わないようにするのが楽しかった



オレの担任の似顔絵の横に


『小栗の好きな人』


そう書いて見せてきた



『やめろよ』



オレはそう書いて
咲田の似顔絵を描いた



似てなすぎて


『だれ?』


と返ってきた



『咲田』



そう書くと咲田が笑いを堪えた



指で自分を指した咲田がかわいかった



オレが頷いたら


『ブス』


絵の横に咲田が書いた



『ブスじゃない』



ホントは『かわいい』って書きたかった



『好き』って書きたかった



咲田
オレ、咲田のこと好きだよ



届かない想いを胸にしまった