泡沫の記憶


「だってさ
朱夏はオレの第一印象
オジサンだと思ったんだろ

そんなオジサンが
朱夏みたいに若くて可愛い子に
好きだからオレと付き合って…
とか言えると思う?

キモいとか思われんでしょ
朱夏に嫌われたくなかったし…

我慢してたよ
毎日こんな可愛いい子と一緒にいたら
普通好きになるよ

だから
朱夏があの時
言ってくれなかったら…

もぉ恋なんてしないと思ってたし
結婚だって諦めてた

恋愛とか、もぉ面倒くさいな…って
そんなふうに思ってた

ありがと…
好きになってくれて

ありがと…
また、恋させてくれて

また、純愛…?ってバカにする?」



また

泣かされた


結局泣いた


涙で見えないよ

柊翔



「あ、朱夏の断わりなく
アイツらに
オレの結婚式来いよ!って言ったわ

ごめん…
朱夏が無理ならいいけど…」



結婚式…?



結婚…



オレの…?



「…
なんで…

なんで、いつも…
いつも、タイミング違うの?」



「そんな、泣くなよ

ごめん…
やっぱり、無理だった?」



「んーん…

今のって…プロポーズ?」



「うん…そーかな」



「無理とかじゃなくて…
もっとちゃんと聞きたかった」



「あ、ごめん…

もちろん朱夏が大学卒業してからでいいよ

やりたいことがあったら待ってるよ

他に好きな男できたって言われたら…
それは辛いけど…

その時は…
その時は…諦められないかもしれないけど

朱夏に選ばれなかったんだな…って…」



なんで…



どこまでこの人は

優しんだろう



「ヤダ…

それでもキミが好きだって言ってよ!

ずっと忘れないって…

キミに選ばれなくても
オレはキミが好きだって

純愛って
その人のためなら
自分の命も犠牲にしても構わないってくらい
その人のこと好きなんだって…
だから…」



「オレ、死にたくないけど…

だって、オレ死んだら
絶対、朱夏泣くでしょ

泣き虫で単純で
純粋で真っ直ぐで
食いしん坊で
無自覚にエロいけど

いい子拾ったな…ってオレ思うよ


朱夏がオレの前にいてくれる限り
大切にするよ

だから…
オレと結婚して…

一生、一緒にいてとか言わないから
いつか、オレと結婚して…

キミのこと…
朱夏のこと…幸せにするから…」



なんで…



この人は

私のことばかり考えてくれるんだろう



「朱夏、なんか言ってよ」



「うん…だって…
だって…息ができない…」



「その涙は
ごめんなさい…の方?

それとも…」



涙が止まらない