泡沫の記憶


「クリスマス、嫌いだったけど
なんかいい思い出できた」



私を抱きしめたまま

オジサンが言った



「オレの目見て信じてくれた?」



私はオジサンの胸で黙って頷いた



「じゃあ、もぉ1回見てほしい」



ゆっくり顔を上げた



オジサンの顔がすぐ近くにあった



「好きだよ

キミのこと
ホントに好きになったから…」



まだオジサンの顔が滲んで見える



ーーー



唇に温かい感触があった



涙で見えなくても

オジサンだって

すぐわかったよ



オジサンしかいないから当たり前だけど



優しく触れたから

絶対オジサンだって

思ったの



「なに?キミ、今少し笑ったでしょ」



オジサンの声がした


私、今笑ったんだ



「うん…
だって…思ってた通りのキスだったから…」



私を好きになってくれたオジサンのキスを

何度か想像してた



私を好きじゃないオジサンのキスは

冷たいキスだろうな…ってあの時思った



今日のキスは温かくて

優しくて

想像してたとおりの

誰も傷つけないキスだった



オジサン

ホントに好きになってくれた



今日を待ってた

ありがとう