「グレーテルちゃん!ラルフくん!」

狼に化けたラルフと歩いていると、カミーユさんに話しかけられた。

「カミーユさん……」

「あの時は、ありがとね。これ……ヘンゼルくんのために……」

カミーユさんは、袋を私に渡す。私は、それを受け取ると中を覗いた。

「……これは……」

袋に入っていたのは、お兄ちゃんの薬を治す万能薬を作るのに、必要な材料全部だった。

「……お礼として受け取ってよ。材料費なんか要らないから」

カミーユさんは、そう言って微笑む。

「…………ありがとう」

私は、カミーユさんの表情を見たあと、微笑んだ。

「さぁ、早く行って!」

カミーユさんの言葉に、私は頷いてラルフに飛び乗った。



あれから数か月。

「お兄ちゃん、早く準備しないと置いてくよ?」

「え!?ま、待って!」

お兄ちゃんは、急いで服を着替えだした。

カミーユさんから材料をもらって、家に帰ってきたあと、ラルフは大急ぎで薬を調合。

その薬の効果で、お兄ちゃんの病気は治ったんだ。

だけど、ずっと動かなかったからか、体があまり動かせなくて、私とラルフ、そして……家がお金持ちのカミーユさんで協力し、リハビリ?をして、今に至る。

今日は、カミーユさんの結婚式。私たちも参加することになったんだけど……。

お兄ちゃんが寝坊してくれたおかげで、朝からバタバタしてる!

「ヘンゼル!グレーテル!早く行くぞ!!」

いつも以上におしゃれをし、私たちは急いでラルフに飛び乗る。

そして、町までラルフは走り出した。