この森は、どれだけ動物を獲ったとしても、少し時間が経てば復活して、人を襲うことから、その名前が付いたらしい。

私はお兄ちゃんと一緒に、お母さんにこの森に捨てられたことがある。その時に、ラルフに拾われて、今私たちが住んでる家で猟師として暮らし始めたんだよね。

もう5年前の話だけど。確か、私が7歳の時だから。

もう私も12歳。時の流れは早いな。

そんなことを考えているうちに、もう森の中に入っていた。

少し走ると、開いた場所にある家が見える。私は、ラルフから飛び降りると、家に入った。

「……グレーテル……」

顔色が悪くて、痩せ細ったお兄ちゃんが、ベッドに寝ている。私の姿を見たお兄ちゃんは、起き上がった。

「げほっ……ごほっ……」

「ヘンゼル。余り動かない方が良い。いくら俺の薬が効いてるといえ……俺の薬は、楽にしてやることしか出来ないからね」

深い茶髪に赤目の、獣耳と尻尾を生やしたラルフが入ってきた。

ラルフは家にいるときは、この姿でいるんだ。

「ラルフの言う通り、お兄ちゃんは大人しくしてて」

私のお兄ちゃんは、重い病気を患ってる。お医者さんは、もう治らないって言った。

色んな魔法薬を作ることが出来るラルフなら、お兄ちゃんの病気を治すことが出来るんだって。