前略、結婚してください~過保護な外科医にいきなりお嫁入り~

 静かで綺麗なエントランスを抜け、エレベーターで向かうのは十八階。最上階の部屋はハイグレードな仕様になっていて、どこかの社長様やCEOが住んでいるらしいが、先生の部屋も十分高級感がある。

 それぞれの部屋が広々としている2LDKで、落ち着いたモダンな雰囲気のインテリアで統一されており、大人の男性らしさをひしひしと感じる。

 無頓着な先生のことだから散らかっているのかな、と想像してお邪魔した初日は、意外にも片づいていて失礼ながら感心した。

 ……のだが、実は『出しっぱなしにしていた物をクローゼットの中にとりあえず押し込んだだけ』と聞き、笑ってしまった。先生らしくてそんなところも許せる私は、だいぶ惚れ込んでいる。

 新たな私の居場所となったこの部屋に入ると、先生が纏うほのかな香りに包まれて、まだまだドキドキして落ち着けない。本人がいたらもっと緊張するに違いないが、やっぱりひとりは寂しい。

 お風呂に入っているときも、テレビを見ているときも、ワガママで矛盾した気持ちがついて回る。この日は眠りにつくまでその調子で、ひたすら大好きな人を想っていた。