前略、結婚してください~過保護な外科医にいきなりお嫁入り~

 思わぬ言葉に、私は大きく目を見開いた。末永さんはなにかに気づいたように「あっ」と声を上げる。


「この間言ってた、伊吹ちゃんにデートする相手がいたら残念がる人っていうのは……」
「そう、明神先生。あのときはデートの相手が本人だとは思わなかったから」


 明神先生が私を前から気に入っていた? それは確かなんだろうか。正直すぎる栄先生が言うのだから本当?

 すぐには信じられないけれど、胸の鼓動は否応なく速まる。


「嘘……」
「もう運命の相手だったんじゃな~い! こんなこと滅多にないよ。本当によかったねぇ、伊吹ちゃん」


 半信半疑な私の肩を抱く末永さんは、再びテンションが上がっている。心から喜んでくれているのは明らかで、その気持ちが嬉しい。

 確かに、もし栄先生の話が事実なら奇跡だ。恋い焦がれていた相手に想われていたなんて。

 軽い酔いも相まってふわふわした気分になっていると、ビールのジョッキを受け取った先生がちょっぴり意地悪っぽく口角を上げる。


「勘づいていたのは僕ぐらいだから、明神先生の結婚を知ってショックを受けている人はたくさんいるんじゃないかな。看護師や研修医の女性たちが」