前略、結婚してください~過保護な外科医にいきなりお嫁入り~

「本当に野暮ですね。お相手がいない今、他人のノロケを聞いたって虚しくなるだけなのに」


 私たちが同時に振り向けば、歯に衣着せぬ発言とは裏腹に綺麗な笑みを浮かべる王子様が立っていた。初めて見る私服姿もカジュアルかつオシャレでモデルみたいだ。

 私は驚いて「栄先生!」と声を上げ、末永さんはギョッとしている。


「なんでここに!? っていうか、正論という名の毒を吐かないでください! 死にます」
「そのときは僕が助けますからご心配なく」


 にっこり笑ってさらりと返した彼は、末永さんの隣の椅子に腰を下ろす。「ここの焼き鳥は僕も好きなんです。一杯だけ飲んだら帰りますから」と言ってビールを頼んだ。

 身体を軽く引き気味にしている末永さんは、テンションを急降下させてどんよりしたオーラを醸し出している。女同士の時間を、しかも天敵になり始めている栄先生に邪魔されたのが不満なのだろう。

 それを知ってか知らでか、彼はものすごくナチュラルに私たちの会話に入る。


「さっきの話、告白もプロポーズも明神先生からじゃないんですか? あの人が浜菜さんを気に入っていたのは前から知っていますよ」