仕事を終えてやってきたのは、病院から近い路地裏にある隠れ家的な焼き鳥屋。美味しいと評判で、私たちもここへ来るのは一度や二度ではない。
カウンター席に座り、炭火の香りとふっくらとした柔らかい鶏肉に舌鼓を打つ。末永さんはビールをぐびっと喉に流したあと、ぷはーっと満足げに息を吐いた。
「それにしても衝撃だったわ~。伊吹ちゃんの好きな人が明神先生で、光の速さで結婚までいっちゃうなんて」
まいった、と言いたげに遠い目をする彼女に、私は苦笑を漏らして「私もいまだに実感が湧きません」と返した。
すると、末永さんがカウンターについた肘を私のほうにスライドさせて身体を寄せ、興味津々といった調子で問いかけてくる。
「ね、どっちから告白したの? プロポーズは? こんなの聞くのは野暮だってわかってるんだけど、どうしても気になるのよ!」
「え、え~と……」
どうしよう、どっちも答えづらい。嫌なわけではなく、説明するのが難しくて。
なにから話せばいいものか、と頭の中を整理しようとしたときだ。私たちの背後から聞き覚えのある声が投げられる。



