前略、結婚してください~過保護な外科医にいきなりお嫁入り~

 結納はしたのか、式はいつ挙げるのか、などなど答えに困る質問攻めになったけれど、彼女にこれから先の新たな楽しみを与えられてよかったと思う。

 さらに、婚姻届の証人にサインをお願いすると、とても喜んでいたし私も嬉しかった。

 祖母に報告したときのことを思い出していると、美來ちゃんが得意げに腕を組む。


「どれもこれも、あたしがラブレターを届けてあげたおかげだよねー」
「もちろん感謝しております」


 たしかにあれがすべてのきっかけなので、私はうやうやしく頭を下げた。

 ところが、梨乃ちゃんはなんだか不満そうに口を尖らせている。


「いいんだよ。美來ちゃんは自分が楽しんでるだけなんだから」
「はー? 手紙書いたはいいけど、いつまでも桃真くんに渡せなくてモジモジしてたのは誰だっけ」
「タイミング計ってたら美來ちゃんが勝手に渡しちゃったんでしょ!」


 しれっとしている美來ちゃんに、梨乃ちゃんは鼻息を荒くして物申した。

 彼女が書いた手紙のその後は、今ふたりが言い合っていた通り。どちらが悪いわけでもないので、とりあえず宥めようとしたところ……。