前略、結婚してください~過保護な外科医にいきなりお嫁入り~

 行きの車内ではご両親に会う緊張と、初めて乗った助手席で先生が運転する姿を見て心臓の鼓動が痛いくらいだったが、帰りはだいぶリラックスできている。

 そんな私に、ハンドルに片手をかける姿もカッコいい彼が話しかける。


「今日はありがとう。疲れただろ」
「いえ! おふたりともすごくいい人で楽しかったです。年齢差にはちょっと驚きましたけど」
「俺も『再婚したい』って紹介されたときはさすがに動揺したよ。今でも親とは思えなくて、年の離れた姉って感じだ」


 私が本音を吐露すると、先生も前を見据えたまま和んだ口調で話す。


「まあ、俺たちも十歳離れてるか……あ、三日後には十一歳差になるな」


 次いでひとり言のようにそう口にされ、私は一瞬キョトンとした。今の発言からわかることはひとつ。


「もしかして先生、三日後が誕生日なんですか?」
「ああ。六月六日」


 それ、もっと早くに知りたかった!と心の中で叫ぶ。そしてゾロ目で覚えやすい!

 先生、三十五歳になるんだ。どうしよう、お祝いするにはなにをプレゼントしたらいいの? お父さんや大地の誕生日とはまた違うし、困り果ててしまう。