そういえば彼女は、友人たちから〝恋多きおトキさん〟と呼ばれているんだった。美人で気さくな性格から、若い頃とてもモテた彼女への褒め言葉らしい。孫なのに、私は似ても似つかない。
絶対リア充だっただろうな……と少々羨ましく思いつつ、再びパソコンと向き合うも、祖母はなかなか仕事に集中させてくれない。
「伊吹も熱い想いを込めた恋文、出したらどうだい? 先生に」
「へっ?」
いきなりなにを言いだすのかとキョトンとする私に、彼女は座ったまま、意味深な笑みを浮かべる顔をできる限り近づけて小声で言う。
「明神先生さ。好きなんだろ?」
その名前を出された途端、サウナに入ったかのごとく全身が熱くなり、汗が滲む。
明神 久夜先生は心臓血管外科医で、三十四歳にして手術の成功率は外科部長にも引けを取らない凄腕ドクター。難しい症例をいくつも執刀し、現在もその腕を磨き続けているという。
地味な司書の私なんかが恋をするなんて、おこがましいくらいの神々しい存在なのだ。祖母の発言は図星だとしても、認めることすら恐れ多い。
絶対リア充だっただろうな……と少々羨ましく思いつつ、再びパソコンと向き合うも、祖母はなかなか仕事に集中させてくれない。
「伊吹も熱い想いを込めた恋文、出したらどうだい? 先生に」
「へっ?」
いきなりなにを言いだすのかとキョトンとする私に、彼女は座ったまま、意味深な笑みを浮かべる顔をできる限り近づけて小声で言う。
「明神先生さ。好きなんだろ?」
その名前を出された途端、サウナに入ったかのごとく全身が熱くなり、汗が滲む。
明神 久夜先生は心臓血管外科医で、三十四歳にして手術の成功率は外科部長にも引けを取らない凄腕ドクター。難しい症例をいくつも執刀し、現在もその腕を磨き続けているという。
地味な司書の私なんかが恋をするなんて、おこがましいくらいの神々しい存在なのだ。祖母の発言は図星だとしても、認めることすら恐れ多い。



