仕事を終えたあとに祖母の病室に向かうと、彼女はすやすやと眠っていた。傷口から伸びるドレーンや心電図のコードが痛々しく、一段と弱って見える。

 今回は大事に至らなかったものの、いつなにが起きても不思議ではないのだと改めて実感させられた。私も、彼女の残りの人生が少しでも悔いのないものになるように、しっかり考えなければいけない。


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 金曜日の定時後、婚活パーティに参戦する末永さんを送り出したあと、私は誰もいない図書室で一週間の締めの作業を行っていた。

 午後五時半を過ぎ、夕日が差し込むノスタルジックなこの時間が、わりと好きだったりする。

 やり残したことがないかチェックしていると、ガラスの戸の向こうで人影が動くのが視界に入った。一度ガラス越しに中を窺ってから入ってきたのは、私服姿の明神先生だ。

 この時間に私服ということは、きっと今日は休みで、急患か患者の急変で呼ばれたのだろう。

 七分袖のTシャツにテーパードパンツを合わせたシンプルなスタイルなのに、とってもカッコいい。白衣姿も素敵だけれど、プライベート感満載のこの姿も胸をわしづかみにされる。

 つい見惚れそうになる自分に活を入れ、スッと腰を上げた。