翌日、心療内科を受診した結果やはり失声症だろうと診断され、カウンセリングや発声訓練を行っていく方針になった。
末永さんにも事情を説明したらとても心配されたのだが、話さなくてもできる事務仕事をしたらどうかと提案され、ありがたく続けさせてもらうことにした。
北澤さんはあれ以来現れず、私の浮気疑惑も久夜さんが一蹴したそうで、今のところ平穏に過ごしている。噂を広められたのは決して気分のいいものではないが、波風を立てたくないのでそっとしておこうと思う。
そうして七月も終わりに近づき、声のない生活にも徐々に慣れ始めた頃、図書室でちょっとしたトラブルが起こった。梨乃ちゃんと美來ちゃんがケンカをしたのだ。
これまで言い合ってもすぐに元通りになっていたのに、今回は違う。美來ちゃんが怒ったまま出ていき、梨乃ちゃんはしょんぼりと肩を落として帰っていった。
一部始終を見ていたわけではなかったのでどうしたものかと心配していると、切なげな顔をした末永さんが私に耳打ちする。
「梨乃ちゃん、来月退院の目途が立ったでしょう。それは本当に喜ばしいんだけど、美來ちゃんにしてみたらショックなんじゃないかな」



