前略、結婚してください~過保護な外科医にいきなりお嫁入り~

「いいのかよ、俺が恋敵になっても」
「あの子を渡さない自信はある」


 力強い瞳で見つめ返せば、一瞬目を丸くした彼はふっと鼻で笑った。バカにしたふうではなく、負けを認めたような穏やかなものだ。


「……お人好しだな、ほんと」


 その呟きにも優しさが感じられて、俺の口元も自然に緩む。ぎこちなくも十数年ぶりに櫂と笑みを見せ合えることができ、心が丸くなるのを実感した。



 櫂の検査を終え、入院の必要はないだろうと判断し、ホルタ―心電図を装着して帰宅させた。これから定期的な検査をすることになるし、普段の生活にも気をつけなければならないが、彼も自覚したようなので注意してくれるだろう。

 伊吹のことへ思考を戻しながら更衣室へ向かう最中、俺に気づいた栄が追いかけてくる。


「明神先生、帰られたんじゃなかったんですか?」
「知り合いの具合が悪くなって診てたんだ。どうかした?」
「末永さんと連絡が取れたんで、その報告を」


 待っていた言葉がもらえて反応する俺に、彼はさっそく話しだす。