「母さんが患っていた肥大型心筋症は遺伝する病気だ。俺は検査して問題ないとわかっているが、櫂には遺伝しているかもしれない。もしものときに助けたくて外科医になった」
まさに今日、その〝もしも〟が起こった。ずっと症状はなかったようだが、突然起こるケースがあるのがこの病気の恐ろしいところ。
俺たちの母は急死してしまったが、櫂は今からでも治療すればきっと守ることができる。
「お前がなんと言おうと、俺にとっては大事な弟だ」
彼は心の内を表すかのように瞳を揺らした。そして瞼を伏せ、ボソッと呟く。
「……あんたの嫁にひどいことしたのに?」
伊吹の気持ちを考えると心苦しさはもちろんある。でも、ふたりの繋がりを知ったからこそできるサポートもあるはずだ。
俺は椅子に腰を下ろし、決まりが悪くなった子供みたいな彼と目線を近づける。
「櫂もずっと後悔しているんだろ。だったらもう悔いるのはやめて、伊吹に持っていた想いを認めるんだ。そうすればきっと優しくできる」
ふたりの関係もよくなってほしいと願いを込めて自分なりの考えを伝えると、櫂はいくらか生気を取り戻した瞳を向けて言う。
まさに今日、その〝もしも〟が起こった。ずっと症状はなかったようだが、突然起こるケースがあるのがこの病気の恐ろしいところ。
俺たちの母は急死してしまったが、櫂は今からでも治療すればきっと守ることができる。
「お前がなんと言おうと、俺にとっては大事な弟だ」
彼は心の内を表すかのように瞳を揺らした。そして瞼を伏せ、ボソッと呟く。
「……あんたの嫁にひどいことしたのに?」
伊吹の気持ちを考えると心苦しさはもちろんある。でも、ふたりの繋がりを知ったからこそできるサポートもあるはずだ。
俺は椅子に腰を下ろし、決まりが悪くなった子供みたいな彼と目線を近づける。
「櫂もずっと後悔しているんだろ。だったらもう悔いるのはやめて、伊吹に持っていた想いを認めるんだ。そうすればきっと優しくできる」
ふたりの関係もよくなってほしいと願いを込めて自分なりの考えを伝えると、櫂はいくらか生気を取り戻した瞳を向けて言う。



