「お前、伊吹のことを……」
ぽつりとこぼした俺の言葉を振り切るように、櫂は険しい表情で勢いよく腰を上げる。
「俺なんかと関わらないほうがいいんだよ。あんたもいい加減──」
ふいに会話が途切れたかと思うと、彼は突然胸を押さえて顔を歪めた。「ぐ……っ」と苦しげな呻き声を漏らし、ぐらりと身体が傾く。
「櫂!?」
咄嗟に手を伸ばすも、大人の男の身体は完全に支えきれず、ふたりしてカーペットの上に倒れ込んだ。なんとか櫂の頭をぶつけるのは避けられたので、すぐさま状態を確認する。
何度か呼びかけても反応はないが、呼吸はしている。おそらく失神発作なのでしばらくすれば意識は回復するはずだが、問題は失神を起こした原因だ。
脳や血管など様々な原因が考えられる中、櫂の場合は予測できているが、正確な検査をするため救急車を呼ぶ。
電話をしながらタオルを水で濡らし、頸部に当てた。血圧が戻るのを待ちながら、瞼を閉じる顔色がよくない弟を見つめて声をかける。
「櫂……大丈夫だ、絶対に助ける」
お前を母さんと同じ運命にはさせないから──。
ぽつりとこぼした俺の言葉を振り切るように、櫂は険しい表情で勢いよく腰を上げる。
「俺なんかと関わらないほうがいいんだよ。あんたもいい加減──」
ふいに会話が途切れたかと思うと、彼は突然胸を押さえて顔を歪めた。「ぐ……っ」と苦しげな呻き声を漏らし、ぐらりと身体が傾く。
「櫂!?」
咄嗟に手を伸ばすも、大人の男の身体は完全に支えきれず、ふたりしてカーペットの上に倒れ込んだ。なんとか櫂の頭をぶつけるのは避けられたので、すぐさま状態を確認する。
何度か呼びかけても反応はないが、呼吸はしている。おそらく失神発作なのでしばらくすれば意識は回復するはずだが、問題は失神を起こした原因だ。
脳や血管など様々な原因が考えられる中、櫂の場合は予測できているが、正確な検査をするため救急車を呼ぶ。
電話をしながらタオルを水で濡らし、頸部に当てた。血圧が戻るのを待ちながら、瞼を閉じる顔色がよくない弟を見つめて声をかける。
「櫂……大丈夫だ、絶対に助ける」
お前を母さんと同じ運命にはさせないから──。



