そうか、俺が弟とまた仲よくやりたいと願っていたから、伊吹は櫂との関係を隠して必死にうまくやろうとしていたんだ。そりゃあ言えないよな、こんな真実は。
彼女を苦しめていたのは、俺も同じだったのか……。
自分の愚かさに気づき、手の力を緩めてだらりと下げた。櫂は乱れた襟元を直しもせず、本音を吐露し始める。
「やり直せるかもって、俺も考えなかったわけじゃない。でもそんなの都合よすぎるだろ。最低なことをしたヤツが家族になるだなんて」
徐々に感情を露わにする彼は、苦虫を噛み潰したような顔になっている。自分の行いを悔いているのだろうか。
「俺はあいつを前にすると自分がわからなくなる。心が乱されて、優しくしたいのにきつい言葉で傷つけてばっかりだ。あんたのことだけを想ってる伊吹も見たくない」
吐き出される言葉を聞いていて、俺はピンと来た。もしかしたら櫂も、伊吹を好きだったのではないかと。
以前から、櫂は母親を憎んでいる素振りを見せるときがあった。決して円満とは言い難い家庭の影響で、女性に不信感を持っていてもおかしくはない。
ところが自分でも気づかぬうちに伊吹に惹かれ、歪んだ恋愛感情が生まれてしまったのではないだろうか。
彼女を苦しめていたのは、俺も同じだったのか……。
自分の愚かさに気づき、手の力を緩めてだらりと下げた。櫂は乱れた襟元を直しもせず、本音を吐露し始める。
「やり直せるかもって、俺も考えなかったわけじゃない。でもそんなの都合よすぎるだろ。最低なことをしたヤツが家族になるだなんて」
徐々に感情を露わにする彼は、苦虫を噛み潰したような顔になっている。自分の行いを悔いているのだろうか。
「俺はあいつを前にすると自分がわからなくなる。心が乱されて、優しくしたいのにきつい言葉で傷つけてばっかりだ。あんたのことだけを想ってる伊吹も見たくない」
吐き出される言葉を聞いていて、俺はピンと来た。もしかしたら櫂も、伊吹を好きだったのではないかと。
以前から、櫂は母親を憎んでいる素振りを見せるときがあった。決して円満とは言い難い家庭の影響で、女性に不信感を持っていてもおかしくはない。
ところが自分でも気づかぬうちに伊吹に惹かれ、歪んだ恋愛感情が生まれてしまったのではないだろうか。



