前略、結婚してください~過保護な外科医にいきなりお嫁入り~

 ベッドの脇に座り、しばしたわいない話をする。今は式場のサイトを映したスマホの画面を見せながら、結婚式の話をしているところ。


「でね、結局ここの式場に決めたの」
「ほ~、綺麗なとこだねぇ。よきよき」


 眼鏡をかけた祖母は、スマホを目に近づけたり離したりして頷いていた。私は現実逃避するかのごとく、結婚式についてひたすら話し続ける。


「衣装はウェディングドレスと、お色直しで着物にするのもいいかなって……」


 話しているうちに、ふたりで式場に行ったり、久夜さんと式の内容や衣装について相談したりした場面が次々と脳内に流れる。普段ならきっと幸せな気分になっているはずなのに、今の私はどうしてか胸が苦しくなるばかり。

 無意識に目線を落として黙っていた私を、祖母が心配そうに覗き込む。


「伊吹、なにかあったんじゃないのかい?」


 はっとした私は顔を上げ、笑みを作って首を横に振る。


「ううん、なんにも……!」
「私の勘はまだまだ鈍っちゃいないよ。すぐわかるんだから。伊吹が私のために結婚してくれたってこともね」