前略、結婚してください~過保護な外科医にいきなりお嫁入り~


 一週間後、いつもと変わらず図書室で本の貸し出しの作業をしていると、午前十一時半を過ぎた頃に意外な人物がやってきた。


「あら、明神さん! 先日はどうも」


 カウンターの前に立ち笑顔で会釈するその人は、由紀さん主催の食事会でご一緒した、教授夫人の北澤さんだ。まさか職場で会うとは思わず、私は慌てて姿勢を正す。

 びっくりした! なんの用があってここに?


「北澤さん、こんにちは……! どうされたんですか?」
「時間ができたから、白藍さんの図書室はどんな感じなのか勉強しに来たの。私の知り合いも病院図書室を設計していて、前から興味があったのよ」
「そうなんですね」


 ひとまず納得するも、彼女はこの間と同様目が笑っていないような気がする。私が苦手意識を持っているせいで、そう見えてしまうのかもしれないけれど。

 なんとなく身構えるも、彼女は図書室内をぐるりと見回して頷く。


「職員用の医学図書室が併設されているのね。広くて書籍の数も豊富そうだし綺麗だわ」
「ありがとうございます」


 お褒めの言葉をいただけてホッとしたのもつかの間、こちらにくるりと顔を向けて目力の強い瞳に捉えられる。