前略、結婚してください~過保護な外科医にいきなりお嫁入り~

 しかし、そんな私のお尻を叩くかのごとく、末永さんがちょっぴり怖い話を語りだす。


「医者妻の間ではお金をいくらかけたかとか、引き出物のクオリティーとかでマウント取ってくる人もいるんだって。そんな陰険な妻たちの集いに、旦那の人脈を作るために嫌々参加する人もいるらしいし……」


 引きつった顔で固まる私に気づいた彼女は、〝しまった〟という感じではっとする。


「って、ごめん! 脅しみたいになっちゃった。ここのドクターの奥様方はそういう嫌味なタイプじゃないって聞いたから、きっと大丈夫よ!」
「あはは……教えてもらえて助かります」


 フォローされたものの一度吹き込まれた情報を頭から消すことはできず、微妙な笑みを浮かべた。

 そうなんだ……白藍の先生の奥様方がいい人たちなら問題ないだろうけど、もし前者のような強いタイプの方がいたら私には馴染めそうにない。

 これは結婚式も念入りに計画しないといけないかも、と考えを改める私に、祖母が厳しい顔をして声をかける。


「伊吹、なにかあったら私に言うんだよ。可愛い孫を傷つけられたらタダじゃおかないからね。激おこだよ」