前略、結婚してください~過保護な外科医にいきなりお嫁入り~

「私、祖母のために結婚を意識するまで願望がほとんどなかったので、理想もあまりないんです。ウェディングドレスは着てみたいかな、くらいしか」
「そうか。周りの意見も聞かなきゃいけないし、これから決めていこう」


 主体性がない私にも、久夜さんは優しい。彼もこういう形式的なものは正直面倒だと感じているだろうに、一緒に考えようとしてくれるからありがたい。

 純白のドレスとタキシードに身を包んだ自分たちをなんとなくイメージしていると、私の髪を指に絡ませて遊ぶ彼がぶつぶつと呟く。


「お姫様みたいなドレス……大和撫子な白無垢……」
「久夜さん?」
「全部着せたい。絶対どれも可愛い」


 真顔でそんなふうに言うから、照れながら笑ってしまった。彼の脳内では私を着せ替え人形にしていたらしい。

 私を甘やかす旦那様は、ふいに表情を引きしめて言う。


「それと、一応俺の弟にも伊吹を紹介しておこうと思ってる」


 弟さん……父親が違う年の離れた兄弟で、あまり仲が良好でないと聞いている。久夜さんはそれを修復したいと願っていることも。