今、先生は白衣もスクラブも着ていないし、私はいたって健康体。当時の言葉も、まったく違う意味を持っている。

 変わらないものは彼への愛だけ。それをやっと、伝えられた。

 その直後、先生は普段は絶対に見せない、慈しむような甘い笑みを浮かべた。唇が近づき触れ合う瞬間に、彼はこう囁く。


「まだ十年しか経ってないけど、約束通りもらうよ。君の人生ごと」


 ……ああ、叶うことなどないと思っていた約束が、現実のものになるんだ。

 信じられないほどの幸せを感じながら、私は瞼を閉じてキスを受け入れた。

 そのまま背中に腕を回され、静かにベッドに寝かせられる。無理やり押し倒された恐怖はまったくなく、首筋へのキスも愛おしさしか感じなかった。

 それからはもう、ただただ初めての行為に翻弄された。

 先生の指先や唇で与えられる愛撫は私の心の傷を癒し、それでいて溶けてしまいそうな熱を生む。裸にされるだけで心臓が壊れそうなのに、秘められた部分までじっくり触れられておかしくなりそうだった。

 その感覚だけでなく、彼の引き締まった男らしい裸体や、欲情を露わにしたセクシーな表情も刺激が強すぎて、理性はすっかり保てなくなっている。

 そして言われた通り、私の口からは乱れた呼吸と甘い声ばかり引き出されていた。