前略、結婚してください~過保護な外科医にいきなりお嫁入り~

 まさか先生が十年も前の関わりを大切に覚えていただけでなく、私なんかに『ドキッと』していただなんて予想外すぎて、全身が火照りだす。

 彼はいつになく優しさと情熱を入り交じらせた表情で話し続ける。


「入院中の子供たちを元気づけていたり、俺たちの手間を省くために努力していたり。伊吹の人間的に成長した姿を見ているうちに惹かれていたんだが、今も男が苦手だったら下手に近づかないほうがいいと思っていた」


 大地に『姉ちゃんのどこが好きなんですか?』と聞かれて答えていた内容は、出まかせではなかったらしい。

 それは信じられないくらい嬉しいのだけど、私のトラウマになぜ勘づいたのかはやはり気になる。


「どうしてわかったんですか? 男性が苦手だって」
「松葉杖を引っかけて転びそうになってたのを支えたとき、急に怯えた様子になっていたから」


 あのときそんなに表面に出ていたのか、と少々決まりが悪くなりつつも納得する。

 映画館で手が触れて拒絶してしまったのに嫌な顔をしなかったのも、私が望むまで一緒に寝ようとしなかったのも、すべて私を気遣ってのことだったのだ。